逃げられなかった
自分を
責めなくていい
どうして
あの時逃げなかったの。
どうして
やり返さなかったの。
そう聞かれるたびに、うまく答えられなかった人へ。 今日は、その「答えられなさ」の話をします。
逃げなかったのではなく、逃げられなかったのだと思います。 やり返さなかったのではなく、体が動かなかったのだと思います。 それは、あなたの意志の弱さではありません。
人は、強い恐怖や痛みにさらされると、必ずしも「戦う」か「逃げる」を選べるわけではありません。 体が固まって動かなくなったり、頭が真っ白になって言葉が出なくなったりすることがあります。 これは、生き延びるための反応のひとつだと言われています。 考えて選んだ行動ではなく、考えるより先に体が勝手に選んだ状態です。
その瞬間、あなたの体は、あなたを守ろうとしていました。 動けば状況が悪化すると、どこかで感じ取っていたのかもしれません。 声を上げれば、もっと大きな痛みが返ってくると、経験から学んでいたのかもしれません。 だから動かなかった。だから黙っていた。 それは、負けたということではなく、生き延びる方を選んだということです。
それでも、あとになって自分を責めてしまう気持ちは、なくならないと思います。 「もっとちゃんと抵抗していれば」「もっと早く誰かに言っていれば」。 そうやって、起きてしまったことを、自分の落ち度として抱え直そうとしてしまう。
わかってほしいのは、その考え方自体が、 あなたが弱かったからではなく、 あの時の恐怖があまりに大きかったことの裏返しだということです。 自分を責めることでしか、あの出来事に説明をつけられなかった。 それくらい、あなたはあの時、追い詰められていたということです。
逃げられなかった自分を、今日から急に許せるようにはならないかもしれません。 それでも、少しずつでいいので、覚えておいてほしいことがあります。
あなたが動けなかったのは、弱かったからじゃない。
あの時、あなたはただ、生き延びようとしていた。